直虎31話「虎松の首」非常に徹した政次は「地獄へは俺が行く」と漏らす

2020年2月7日

地獄へは俺が行く

とどでございます。

今回のサブタイトルの元ネタは「組長の首」。

ファミリーのボスの首を取りに行くあたりを示しているようなタイトル。

予告で入っていた「地獄へは俺が行く」というセリフは直虎に向けた言葉かと思ってましたが、実際には部下に向けた言葉でした。

身代わりとして、誰かも分からない子供を差し出すのは非情な決断だったかもしれません。

でも、戦国時代でお家断絶の危機になっている状態では、苦肉の策だったのでしょう。

そして何とか井伊の城代となった政次。

この政次は井伊の人間ですから、実質井伊が井伊谷を握っていると見てもいいでしょう。

政次に関しては、もはや裏切りの心配など何もしていません。

全員の前で徳政令の宣言

前回の政次の狙いは、徳政令の宣言を直虎にさせることでした。

直虎と直接会話して合意した訳ではありませんが、前回の囲碁でお互いの打ち筋を見ながら策を考えているシーンで、お互いに同じ結論に至っていたため、今回の直虎もさほど動揺せず流れに乗りました。

また、政次が「農民たちを焚きつけたのは直虎か?」と問いかけていたのは、農民たちの命が懸かっていたら、直虎はそれを救う選択、つまり自分が仕組んだことだという方向に持っていく、という信頼があったからでしょう。

お互いの信頼が見えてとても微笑ましい。

井伊谷の明け渡し

徳政令を出してしまえば、瀬戸方久にお金を借りている井伊としては、それを渡さなければなりません。

農民たちの借金を井伊が肩代わりする形です。

でも井伊にそんなお金はないので、土地や屋敷を取られちゃうんですよね。

この辺の事情は13話14話あたりで語られました。

でもって、前回今川が方久を押さえてしまったので、結局今川がそれを手に入れることになります。

困ったときの隠し里

直平(直虎のひいじいちゃん)のときから、困ったときは川名の隠し里で力を蓄えていました。

今回も、井伊のピンチを救ってくれるのがこの場所です。

直虎は虎松に「汝れの父親と、政次が守ってくれた」と言っていましたが、7話を思い出すと、直親の無茶振りから政次が持ち前の機転でなんとか凌いだ、というのが本当の所。

政次がいなかったらアウトの場面でした。

でもそんな話、直親の息子に話せるわけもなく、いい感じに脚色して話す直虎なのでした。

さもありなん。

実はみんな信じてた政次

川名の隠し里にあるおんぼろ屋敷に井伊の主要メンバーが集まっていました。

龍潭寺から虎松を連れてきた直虎は、ここで政次の考えをみんなに伝えました。

ライアーゲームだのキングダムだの読んでいた私としては、「ここに今川のスパイがいたらどうすんのさ!」なんていらぬ心配をしていた訳ですが、そこまでシビアな状況ではありませんでした。

さすが隠し里。

之の字はいきなり信じたりはしませんでしたが、それでも六左衛門や高瀬が信じてくれてたのは嬉しかったです。

そして、祐椿尼(直虎のおかんである千賀)が優しく微笑んでいたのも良かったです。この人は、小さい頃から鶴、亀、おとわを見守って来たんですから、ずっと信じていたことでしょう。

井伊の家臣たちに嫌われる父親から「お前も同じ道を辿ることになる」と言われていた政次でしたが、こんなに信じていてくれる人がいることを考えると、父親とは別の道を進むことができたようです。

この時点では、甥っ子である亥之助からは、かつて自分自身が父親に対して思っていたようなことを言われて寂しそうな顔をしていた政次でしたが、実は虎松の命を救い、井伊を救おうとしていたことを知った亥之助に感謝される姿からも、父親とは違った道を進んでいることが窺えます。

目から失禁

癒し担当の六左衛門ですが、今週も僕らの心を癒してくれます。

徳政令を出すために一筆書き終わった後の直虎に「殿、帰りましょう」と優しく声を掛けてくれたり、「話を聞いたら忘れよ」と直虎が言ったのを守って、話が終わった後に一本締めしたり。

さらには、傑山さんが虎松に弓を向けて「命を狙われる恐怖」を教えているときは、マジでやられる! と思って目から失禁したり。

裏で交渉をスムーズに進めるための信頼関係を築いたり、場を和ませたりと、やはりなくてはならない存在です。

彼がいなければ、井伊はギスギスしていたかもしれません。

そんな彼だからこそ、御大将の命を守る大役を任されました。

六左衛門(E:くさりかたびら)は、虎松を三河まで送り届けるため、弁慶の如く進んでいくのでした。

この氏真、容赦せん!

井伊が徳政令を受け入れた、という知らせを今川に持ち帰った関口殿。

井伊の処理はこれで終わりか、と安堵していましたが、氏真からは「井伊を断絶せよ」とさらに命令が下されます。

やり過ぎじゃないか? と感じた関口殿は「そこまでやらなくても良いのでは?」と進言するものの、氏真は考えを変えません。

やり過ぎと感じるのは、彼個人の武人としての思想かもしれませんが、主が命令を下している以上、それに従います。

地獄へは俺が行く

関口殿から「虎松の首を取ってこい。出来るか?」とまるで鉄砲玉のような仕事を依頼される政次。

試されてます。

政次としては「やばいどうしよう」な状況ですが、そこは表情に出しません。

高橋一生さんの「表向きには笑顔を見せているけれど、内心動揺してます」という感じの演技が光ります。

もちろん、マジで虎松の首を取る訳にはいかないので、そこは策を考えました。

誰かを身代わりに差し出すのは、決して許されることではありませんが、「地獄へは俺が行く」と覚悟を決めた政次は、その手を汚します。

首の検分

政次によって捕らえられていた直虎は、虎松の首の検分のために呼ばれます。

ひとりで考えると不安になるのは誰しもあることで、「実は政次は本当に裏切ってたんじゃ……」と不安になる直虎でしたが、その動揺も関口殿を信じさせる材料となっていました。

実際に首を見て大きく動揺しなかったのは、根底に政次を信じる気持ちがあったからでしょう。

首に化粧をしていることを咎められますが、政次は「疱瘡(ほうそう)があるからだ」と告げます。

虎松の容貌について大声で伝える政次のフォローもあり、直虎はすぐ演技に入ることができました。

疱瘡は天然痘のことで、ウィルスによる、感染力の高い感染症です。

渡来人が頻繁にやってくるようになった6世紀ごろに日本に持ち込まれたようなので、もちろんこの時代の人々も知っている病気です。

飛沫感染や接触感染もあるので、関口殿やその部下たちが顔を押さえていたのも納得です。

(ちなみに現代では、1980年にWHOが根絶宣言を出しています)

その天然痘がうつることを厭わずに直虎が首を抱き上げたことで、「母だから出来ること、つまり虎松のものだと判断していいだろう」という空気を作りました。

龍雲丸も政次を信じていた

身代わりとなった子供の冥福を祈る和尚様のもとに、龍雲丸がやってきました。

前回、方久の怪しい動きを突き止めるためにタッグを組んでいたからか、龍雲丸も政次のことを信じていましたね。

好きな娘を巡ってケンカした仲だからこそ、お互いのことについて分かり合えたのかもしれません。

井伊谷の復活へ

虎松の首(偽)を献上したことで、井伊谷の城代となった政次。

ある意味では、父親の悲願を達成したのかもしれません。

でも、それを成し遂げる過程で、彼は多くの人の信頼を集めました。

月を眺めながら酒を飲む様子は、どこか安堵しているようにも見えます。

亥之助が「かけがえのない友を助けてくれて、ありがとうございました」と感謝を伝えましたが、その時はきっと直親のことを考えていたことでしょう。

かつて力不足だったことで、直親を見捨てることしかできなかった自分の後悔を、次の世代の子供たち、特に自分の甥である亥之助にさせたくなかったのかもしれません。

感謝されるも、表向きには救っていないことになっているので、「何のことだ? 早く休め」と優しく言う政次なのでした。

それをすぐそばで見てたら惚れても仕方ありません。そりゃなつだって、予告で政次に抱きつきますよ。

まとめ

政次が直虎だけでなく、井伊谷の人々に信頼されていたことを知って、自分のことのように嬉しくなりました。

相変わらずピンチは続きますが、何とか虎松を助けることに成功した直虎と政次。

いよいよ井伊にとって大きな戦いが始まろうとしています。

おまけ

サブタイトルの元ネタ集作りました。