西郷どん第21話「別れの唄」愛加那さんも身を引いてしまった

2020年2月10日

旅立つあなたに別れの唄を

とどでございます。

もう少し奄美の景色を楽しんでいたかった気もしますが、西郷さんは薩摩に帰ってしまいました。

子供が生まれて骨を埋める覚悟をしていたけれど、西郷さんを連れて帰るために昇進した大久保正助改め大久保一蔵(いちぞう)がやってきたことで揺らぐ西郷さん。

二人目まで愛加那さんのお腹にいるのに、薩摩に帰るわけには参りません。

と、思いつつも、心が薩摩にあることを愛加那さんに見抜かれてしまいました。

今回、愛加那さんは悲しみを隠すような笑い方をしていたのが印象的。

前回のあらすじ

西郷さんが奄美大島で過ごす間、大久保正助は薩摩で奔走していました。

島津斉興の信頼を勝ち取り、その子である久光ともパイプをつなぎ、久光こそが斉彬様の意思を継ぐものと説きました。

一方、精忠組として働く郷中の仲間たちの一部に、脱藩の動きが生まれます。

大老・井伊直弼の独断専行にしびれを切らした者たちが、御公儀(幕府)に対する怒りをぶつけようとしました。

国父となった久光はそれを抑えようとしたものの、先に江戸に出ていた薩摩出身の有村次左衛門と水戸藩士たちが井伊直弼を討ち取ってしまいました。

井伊直弼がいなくなったことで、国の潮目が変わり始めました。そこに西郷吉之助を呼び戻すべく、大久保正助は久光に掛け合っていたのでした。

今回はこんな話

今回のハイライトはこちら。

  • 西郷さんに子供が生まれ、菊次郎と名付けられた
  • 大久保正助、出世して大久保一蔵と名を改める
  • その一蔵が西郷さんを迎えにきた
  • もう帰らないつもりでいた西郷さんに、斉彬様からもらった短刀を託す
  • 愛加那さん、「もう帰るつもりがない」という西郷さんの本心を見抜く
  • 別れの唄で西郷さんを送り出す

今回も気になる所を中心に。

西郷さんに子供が生まれました

奄美大島に来て2年。そこで結婚した愛加那さんとの間に西郷さんの子供が生まれました。

西郷さんは菊太郎と名付けたかったみたいだけど、愛加那さんの叔父である龍佐民が「あなたはいずれ薩摩に帰る。そしてこの子も薩摩に行くことがあるかもしれない。その時に太郎と呼ばれていたら、気まずい思いをするかもしれない。だから菊次郎としておいてくれ」とストップをかけました。

当時の人たちにとって生まれた順番は大事なようで、特に武士であれば家を継ぐ・継がないの問題にも関わります。

上の子が家を継ぐのが当たり前だった当時、太郎と名前がついていたら「私が長男です」と言っているのと同じですもんね。

もし薩摩で西郷さんがまた結婚したら子供が生まれるでしょうし、その時に奄美大島で生まれた子供が薩摩に行こうものなら、家を誰が継ぐかで揉める可能性があります。

それを未然に防ぐため、最初に生まれた子供であっても、薩摩で肩身が狭い思いをしないようにと「いっときの感情でこの子に辛い思いをさせないでおくれ」という龍佐民の思いやりなのでした。

さすが長老。

大久保正助改め大久保一蔵

久光の信頼を勝ち取った大久保正助は、その名を「大久保一蔵」と改めました。

この名前は久光からもらったものだったようで、よほど大きな信頼を得ていたことでしょう。斉彬様に西郷さんがいたように、久光には大久保がいました。

西郷さんの召還願いも聞き届けてもらえるようになるレベルで出世していたみたい。精忠組の中でも「大久保様!」と上の方にいるみたいでしたしね。

……そういえば精忠組の説明ってありましたっけ?

「はい、この人たち精忠組ですよー」みたいな感じで精忠組の名前がテロップで出ていたのは覚えているのですが、この組織がなんであるかまで言ってなかったような……?

サクッと調べてみたら「斉彬派の読書サークル」なんて言葉が出て来ました。

薩摩の子供達が受ける郷中教育では輪講形式の勉強法も取り入れられていましたが、その発展形として薩摩藩の武士たちが集まって、思想や国のあり方などをディスカッションしていた集まりだったようです。

思想系読書サークル。大学にあったら真っ先に警戒すべき団体のような響き。自分の意思で入るなら自由だけど、何も知らない新入生がカモにされるのは怖いよね。

……話が逸れたけど、国のあり方を議論するからこそ、当時独断専行していた井伊直弼が幕府を動かしている状況に我慢できなくなったりしていた様子。

有村俊斎の弟二人はそれで井伊直弼を討ち取るところまで暴走しちゃったんだから大変です。

そりゃ久光も「お前ら落ち着け!」と言いたくなります。あ、言わせたのは大久保でした。久光も分かっていながら操られている感がいい感じ。

鉄の歯車で効率アップ

かねてより西郷さんが大久保にお願いしていた、サトウキビを搾り取るための鉄輪が届きました。

薩摩の人がこれを持ってくると「もっとサトウキビを搾り取って、もっと年貢を納めてね(ニッコリ)」みたいな感じがしてしまうのが怖い。

話の流れだと、

サトウキビの量が少ないから米とかの田んぼもサトウキビ畑にせざるを得ない

収穫したサトウキビからもっと砂糖を搾り取れれば田んぼ減らさずにすむ

そうだ、鉄の歯車を持ってこよう!

な感じだったかな。悪代官を成敗した後だから、多く精製した分の砂糖を取られる心配もないってことかしら。

サトウキビから砂糖を搾り取る構図が、そのまま薩摩が奄美大島の人たちから年貢を搾り取る構図になっていて結構重いメタファーです。

年貢を収めるからには何かしらの社会福祉やサービスがあって然るべきですが、この時の薩摩って年貢の代わりに何を奄美大島のために提供してたんでしょうね。

外国が攻めて来た時に守ってあげるよ! という安全保障?

何も見返りがないのに年貢だけ持っていくのは文字通り搾取なんだよなぁ……。

そう考えると、薩摩出身の西郷さんのことも受け入れてくれた愛加那さんとか菩薩レベルの心の広さ。

分かってはいたけど別れの時

「もうすぐお前の夫がやってくる」と言われて西郷さんと結構した愛加那さん。

結構する時に、いつか別れの時がやってくると覚悟していたものの、実際にそうなると辛いものがあります。

なんとお腹には二人目がいたりと、結構衝撃の展開だったりしたのですが、結局西郷さんは島を離れることに。

亡き斉彬様の遺志は心の奥底でまだ燻っていたようです。

海の中で抱き合い、「果報なくとぅ」と菊次郎が生まれた時にも歌っていた唄を愛加那さんは口ずさんでいました。

西郷さんを送り出す時にも旅立ちの唄でもって送り出し、薩摩へ帰ることとなりました。

島の子供達がみんなで「先生!」と送り出す辺はなかなか目頭が熱くなりました。

もうここで最終回でいいんじゃない?

ダメか。

まとめ

奄美大島編は別れで終わりました。

最初の奥さんである須賀さんだったり、愛加那さんだったり、西郷さんのことを考えて身を引くあたり、強いなぁと思います。

特に愛加那さんには子供だっているんですから、いくら西郷さんのためとはいえ、辛い決断だったろうなぁ。