西郷どん第23話「寺田屋騒動」自分を貫いた有馬と薩摩藩の悲しい同士討ち

2020年2月10日

うなぎ取ったどー!

とどでございます。

前回、京で現在の体制に不満を抱く志士たちを落ち着かせた西郷さん。

それ自体はグッジョブでしたが「下関で挙兵の準備を整えよ」という島津久光の命令をガン無視してしまったのはアカンかったようです。

京に来た有村俊斎改め海江田武次が「吉之助に切腹の沙汰が下った」と伝えに来ました。

久光から見たら尊敬・敬愛する兄上の心を奪った泥棒猫(意訳)ですし、早めに排除しておきたいのが本当のところ。

でもその兄上が言い遺した「西郷は主君の大きさを測る物差しのような男」という言葉があったことを側近に言われ、切腹は取り消したものの、島流しは避けられなかったようです。

過激派を抑えていた西郷さんがいなくなったこと、志士たちの取り締まりが厳しくなったことで、志士たちの不満が爆発して寺田屋での決起に繋がりました。

それを知った島津久光は人を送って説得を試みるものの、先走った交渉側のエージェントにより戦闘が始まってしまい、西郷さんの郷中の仲間である有馬新七が命を落としてしまいました。

前回のあらすじ

奄美大島から帰ってきた西郷さんは、早速島津久光に喧嘩を売りました。

「恐れながら、田舎者のあなたに国は変えられませんよ」なんてなかなか言えません。

しかし、久光は一旦怒りを抑え、自分(と大久保?)で考えた公武合体の思想を提げて京へと向かおうとしました。

その梅雨払いと受け入れ準備のために西郷さんを下関へ送ったものの、弟の西郷信吾が商人からお金を借りて京に向かったと知り、それを追いかけます。

信吾は暴発寸前の志士たちと一緒にいたものの、西郷さんが命を賭けて止めたおかげで、志士側のリーダーである有馬新七が矛を収めてくれました。

しかし、「田舎者」とバカにした挙句、命令にも従わない西郷さんに久光は激怒し、「切腹させろ!」とブチ切れました。

今回はこんな話

今回のハイライトはこちら。

  • 京で志士たちと腹を割って話そうとした西郷さん、一蔵に止められる
  • 一蔵、「一緒に刺し違えよう」と病む
  • 郷中の仲間と一緒にうなぎ取り
  • 宿に戻ったところで西郷さんと新八が捕まる
  • 激怒する久光は西郷さんに切腹を命ずるも、小松帯刀に止められる
  • 西郷さんと新八は切腹を免れ、島流しに
  • 西郷さんがいなくなって抑えの効かなくなった志士たちは暴走
  • 久光は時の天皇から「志士たち抑えて」とお願いされ、テンションMAXで取り締まり
  • 血気に逸る志士たちは寺田屋に集結
  • 久光から説得要員を送られたものの、激突してしまい郷中の仲間・有馬新七が他界

今回も気になる所を中心に。

何処へ行った大島三右衛門

奄美大島に3年いたから大島三右衛門、と前回名乗っていた気がしましたが、今回はずっと西郷吉之助で通してましたね。

名前を変えた設定は何処行った……。

久光の命令で先に京に行った大久保一蔵も普通に「西郷は来なかったか!?」と宿で聞き込みしちゃってるし。

生きてるのバレたらやばいぜ一蔵! そう言えば一蔵はちゃんと呼ばれているぞ一蔵!!

一蔵に関してはマジで焦ってたからつい、なのかも。

今回「西郷」と連呼していても幕府側の人間にバレなかったってことは、京における幕府の影響力が低下していると前向きに考えることにしましょ。

一蔵さん、ヤンデレみたいになっちょりもす

志士と腹を割って話すために、まずは仲良くなることから始めようとした西郷さん。

そこに颯爽と大久保一蔵が登場。

二人で内緒の話が始まります。

久光が「西郷に切腹させろ」と命じた事で、一蔵ももうあかんと思ったみたい。

「おいが吉之助さぁを刺す。吉之助さぁはおいをさせ。刺し違えるより他はなか!」と心中を提案しました。

一蔵さん、それ病んでる感じがして怖いっす。

これまでなんとか西郷さんを生かそうとしてきたけど、流石に今回はダメだと思ったみたい。

西郷さんも一蔵に拾ってもらった命だからと言いつつも、逃げに走って「これでいいのか?」と今一度考えるように説得。

西郷さんからしたら、一蔵には生きていて欲しいでしょうし。

うなぎとりのシーンがきつい

1回目に見たときはそこまでグッと来なかったのですが、録画を見返しているとこのシーンきつかったです。

というのも、うなぎを取ってみんなで食べるシーン、寺田屋で命を落とした有馬新七を寺田屋に説得に行った大山格之助と久光の腹心である大久保一蔵が囲んでたんですよね。

「はよ、はよ」と子供みたいにうなぎを急かしていたり、酒を注ぎあったりと、久々に郷中の仲間が揃って昔に戻ったかのように楽しんでいました。

寺田屋での騒動を見た後にこの姿を見ると、子供の頃は明日のことを考えずにみんなで素直な気持ちで楽しめていたのに、大人になって自分の考え持った結果ぶつかり合ってしまっているのが辛くて……。

大人になるって多分そういうことなんだけど、もう戻れない子供時代との対比がはっきりとなされていました。

西郷は物差し

うなぎ取りを楽しんだ後、西郷さんと新八は薩摩の追っ手に捕まってしまいました。

切腹まで秒読みとなっても久光に進言する西郷さんは強い。

「政には潮目がある」と斉彬様と行動して学んだことを伝えようとするも、聞く耳を持たない久光。ついには自分の手で切ろうとしますが、そこは小松帯刀(こまつたてわき)がナイスカットイン。

「亡き殿は『西郷は物差しだ』と言ってました」と久光を説得しました。それを受けて、なんとか切腹は取りやめに。

斉彬様、ここでも西郷さんの命を救ってくれました。久光は敬愛する兄上のことならちゃんと聞いてくれるあたり、本当に尊敬してたのが感じられます。

久光の側近でも、必ずしも久光の言いなりではない感じがいいですね。ひとりイエスマンはいるけれど、大久保一蔵も含めて4人でバランスが取れています。

この後のシーンになりますが、久光は大久保一蔵をいたく気に入ってますね。寺田屋に説得する部下たちを送り込む算段を立てた後、「お前はわしの側におれ」と手元に置いていますし。

今回はなんだか久光の愛情が感じられる回でした。いろんな意味で。

でも島流し

西郷さんと新八の切腹は取りやめになったとはいえ、命令違反に何の処罰もなかったら藩内の統率が取れなくなってしまいます。

罰は罰として与えないといけません。

結果として、西郷さんたちは島流しされることに。生きてれば何とかなるなる。

じゃっどん、この島流しが間接的に志士たちを破滅に追い込むことに。

西郷さんが時間をかけて志士たちを抑え、全体の意思をまとめて一気呵成でことを為す、とするつもりでしたが、西郷さん本人がいなくなった上に、久光が志士の取り締まりを始めたからさぁ大変。

朝廷側でも志士たちを支援している勢力があるらしく、志士たちがもう行動を起こそうとしちゃってます。

そして寺田屋へ

薩摩藩の定宿であった寺田屋で事件は起きました。

志士側の中心人物である有馬新七を説得するため、久光の命令で有馬と同じ郷中出身の大山格之助を中心とするメンバーが鎮撫使(ちんぶし)送られました。

志士側に西郷さんの弟である西郷信吾がいたのもなかなか衝撃です。

必死に説得する大山でしたが、有馬は「あの国父は好かん」と聞く耳持ちません。信吾も説得に当たったものの、それを咎めようとした志士が鎮撫使に斬られてしまいました。

これを口火に志士側と鎮撫使の衝突が開戦。同じ薩摩の仲間で斬り合う大惨事に。

この戦いの最中でも、大山格之助と有馬新七はそれぞれ信吾をかばいながら戦っていました。信吾からしたらこの状況が訳わからないでしょうね。

そして刀の折れた有馬さぁは鎮撫使のひとりを取り押さえ「おいごと刺せ!」と道連れでこの世を去りました。

寺田屋事件の背景

西郷どんの話の中ではあまり出てきませんでしたが、そもそもなぜ志士たちが寺田屋に集まったかといえば、公武合体派の関白(九条尚忠)や京都所司代(酒井忠義)を襲撃しようとしたから。

公武合体とは、朝廷と幕府で手を組んで幕藩体制を再編し強化しようぜ、という考え方。ドラマだと久光は威張るために手柄だけを求めているような描かれ方ですが、史実では公武合体の思想を掲げて上洛しています。

それに対して、有馬をはじめとする志士たちは、幕府はもういらん、ぶっ潰してやる!! 派。井伊直弼が勝手に条約に調印したり、安政の大獄で多くの武士を弾圧したことを受け、幕府はもう腐ってしまったから倒すわ! という思想です。

どちらも幕府による政治体制からの変化を求めているものですが、幕府を残しておきたい公武合体派と、幕府をぶっ潰したい倒幕派は相容れない存在でした。

久光からすれば、公武合体実現のために上洛したのに、その京で自分の藩の人間が倒幕派として志士たちをまとめてる、なんて状況はとても嫌なもの。

しかも朝廷からの勅(みことのり)までもらっているので、中途半端なことはできません。説得に応じないなら隠密に切り捨てろ、と厳しいことを言わざるを得ない状況です。

結果的に自分の藩の人間を討伐してでも勅をやり通した久光は朝廷の信頼を勝ち取り、この後は江戸に向かっていきます。

まとめ

子供時代に戻ったかのように和気藹々とうなぎを取るシーンからの寺田屋騒動。

同じ藩の人間、それも同じ郷中の仲間と戦わなければならなかったのは辛い。

大人になるって悲しいね。