西郷どん第41話「新しき国へ」久光様、怒りの花火大会を開催

2020年2月10日

菊次郎、よく決意したな

とどでございもす。

腐敗広がる明治政府。民の不満も募っていったみたい。

「これなら徳川の世の方が安寧だった……」なんて呟く町人たちもいました。

今回は変わらないことの象徴である久光様と、どんどん西洋風の格好に変わっていく周囲との対比が顕著でした。

久光様といえば、廃藩置県に反対の意を示すため、一晩中庭で花火をあげていたエピソードがあまりにも有名。

もともと国学に精通する久光様でしたから、武士の世が終わることまでは望んでいなかったので、この時の西洋かぶれとなった明治政府のやり方には反対したかったみたい。

しかし天子様に会ってからは変わりゆく日本を実感し、憑き物が落ちたかのように西郷さんを応援してくれました。このシーンの久光様はまさに国父の名前通りの大きな人でした。

前回のあらすじ

明治新政府に加わって会議に出席するようになった西郷さん。

しかし明治新政府の面々は豪華な仕出し弁当に舌鼓を打ったり、東京で大きな家を構えたりなど贅沢三昧。

その口で「産業を盛り上げるにはお金が足りない」「法整備を進めるためにはお金が足りない」などとのたまっていた様子。

質素倹約に務める西郷さんとは距離がどんどん開いていきました。

さらには薩摩と長州vs土佐と肥後の主導権争いも激化し、もはやカオスの状態に。

空中分解待った無しの明治政府でしたが、西郷さんが「今はそげなこつしとる場合じゃなか」と鶴の一声で解決しました。

今回はこんな話

今回のハイライトはこちら。

  • 久光様、屋敷の庭で怒りの花火大会
  • 岩倉使節団発足
  • 西郷さん、明治天皇に「国を見て回ってたもんせ」と奏上し、受け入れられる
  • 人前に姿を見せることのなかった天子様を見てみんなびっくり
  • 留守政府で山縣有朋が不正にお金を流して辞職
  • 土佐、肥後の面々は自分たちの勢力を伸ばそうと暗躍
  • 天子様と共に鹿児島に行った西郷さん、久光様に励まされる
  • 菊次郎、異国留学を決意

今回も気になる所を中心に。

久光様の花火大会

廃藩置県なんてふざけたことしやがって!! ……とまで久光様が言っていたかは定かではありませんが、家臣として働いていた西郷と大久保が勝手に廃藩置県を進めたことに抗議の意を示すために一晩中庭で花火を打ち上げていたそうな。

もともと国学に精通し、日本の伝統文化を愛していた久光様。彼にとっては、西洋風の格好をしたり西洋風の振る舞いをしたりすることはとても嫌なことでした。

大山綱良の散切り頭を叩いて文明開化の音を出したり、桂久武のマントに怒ってみたりしたシーンにもそれが現れていました。

明治になって西洋の文化が流れ込んできた急激な変化に、薩摩の民たちは不満を抱えている様子。その陳情の手紙が久光様の元に届けられていたみたい。

西郷さんの立場からすると久光様は扱いに困るのかもしれませんが、少なくとも薩摩の民のことを考えていてくれるのはいいところです。

岩倉使節団が旅立ち

Wikipedia より引用 (パブリックドメイン)

岩倉具視がちょんまげ姿で海外に行った写真で有名な岩倉使節団が発足しました。左から木戸孝允、山口尚芳、岩倉具視、伊藤博文、大久保利通で、ロンドンでこの写真を撮ったそうな。

政府の上の方にいる人がこの使節団に含まれているので、留守政府も色々と大変だったみたい。

ドラマの中だと岩倉具視はかなり立場が高く「留守中に余計なことすなよ」と釘を刺していきました。

そんなこと言われたって、留守中に状況は変わるかもしれないし、ある程度の権限を委譲しても良かったんじゃない? とは思います。方針を変えないのはいいにしても、その方針に沿った新しいも着手させないのは結構厳しめ。

だって管理者がいないとルーチンワークしか出来ないし、何かあっても改善すらしちゃいけませんなんて組織とか怖すぎません? ……って後からだから何とでも言えるけど。

この岩倉使節団の当初の目的は不平等条約の改正交渉でした。「江戸幕府が結んだ条約なので知りませーん」なんてやったら国として認めてもらえなくなっちゃうので、責任を持って交渉しに行かないといけません。

再び交渉できるようになるのが1872年だったので、ここで岩倉使節団を結成したのでした。実際にはすぐ交渉しなおすより、技術を見学させてもらって、成長してから交渉した方が有利になると感じたようで、先進技術の勉強留学に切り替えた面も。

このおかげで日本に帰ってきてから発展したこともあり、悪い面だけではなかったのです。

明治天皇の行幸

放送がもう1日早ければ明治天皇の誕生日の放送となっていました。そう、11/3の文化の日は明治天皇の誕生日なんです。

ドラマの中では西郷さんが「民のためにどうかそのお姿を」と行幸の奏上を行なっていました。そして明治天皇もそれにOKを出して一緒に全国を回ることに。

そこには鹿児島も含まれていました。

天子様のお供として鹿児島に行った西郷さんは、天子様の言葉を読んで伝える役目を果たしました。

ドラマの中では久光様とめっちゃいい感じで話をしてましたが、史実だと一切会話しなかったなんて話もあります。西郷さんが久光様に一切挨拶しないで東京に帰っちゃったもんだから、明治政府に怒りの抗議文を送ったとか何とか。

聖蹟桜ヶ丘の由来

明治天皇がドラマに出てきたときからずっと言いたかったのがこれ。

東京の京王線に聖蹟桜ヶ丘って駅があるんだけど、この名前の由来が明治天皇が行幸に来た場所だからなんです。

聖蹟桜ヶ丘の坂の上に聖蹟記念館があるのですが、ここには明治天皇の銅像があったり、ここで詠んだ歌が石碑になっていたりとこの行幸を記念に残しています。

あの辺に住んでたので自転車で行った記録もこのブログで書いていました。聖蹟桜ヶ丘は耳をすませばの舞台になった場所でもあるので、休日に出かけてみるといいかも。映画と比べるとだいぶ街の様子が変わっていますが、聖司くんと雫が自転車で登った坂は健在です。

京王線の駅名をつけるときには行幸にちなんで「聖蹟」とつけたみたい。

このように全国には聖蹟とされる場所が数多くあります。明治天皇の行幸については明治天皇聖蹟保存会が年表を出版しており、どこに赴いたか分かるようになっています。国立国会図書館デジタルコレクション(デジコレ)で見てみると地元にも来てたりして何だか不思議な気持ちになれます。

なお、この明治天皇聖蹟保存会の会長は西郷従道の次男、西郷従徳です。西郷隆盛にとっては甥っ子にあたります。

天子様を見て流した涙

久光様が天子様を見たときに流した涙の訳について。

日本サイコー! 伝統文化サイコー! な主義の久光様にとっては、日本の伝統的な着物こそ至高であり、西洋風の召しものを身に付けるのは邪道ぐらいの勢いでいました。

今回家臣の散切り頭や西洋の外套を咎めたことにも現れています。

しかし、日本の伝統の象徴とも言える天子様が洋服を着て目の前に現れたのは、これまでの価値観を揺るがすレベルの衝撃でした。

当時の日本の象徴たる明治天皇が洋装で、これまで行なって来なかった全国への行幸を実施したことを受け、「これまでの日本」に固執していた自分に気付きました。

伝統を守ることばかりを考えていたのに、明治天皇が伝統を破って「新しい日本」の姿を示した——それが久光様の心を打ったわけです。ふっと憑き物が落ちたかのように西郷さんを応援できるようになったのも、これがあったから。

庭で花火を上げている時の久光様は「まだだ、まだ終わらんよ!」と自分が薩摩を引っ張っていくんだと気負っていましたが、明治天皇の行幸をうけて最後に西郷さんと話しているときには「新しい日本は若い者のためにある」と一歩引いた立場で見守る姿勢を示しました。

「若い者のため」というのは今回のテーマで、岩倉使節団として海外に向かう大久保一蔵が無理を押して出発しようとしたのも、若い者が海外に行って文化や技術を学びやすくするためでした。

これがお前の作りたかった日本か?

久光様と西郷さんのトークでもう一個。

2話ほど前に西郷さんが戊辰戦争の責任をとって薩摩に帰ってきた際、久光様は「これがお前の作りたかった日本か?」と問いました。

あの時は西郷さんは何も答えずに場面転換しましたが、あの答えが2話越しに語られました。ナイス伏線。

「新しい日本を夢見た……しかし今の状況では戊辰戦争で散ったものや徳川の者たちに申し訳が立たない」と弱音を吐いた西郷さんに対し、「このやっせんぼが!!」と檄を飛ばす久光様。

奇しくも斉彬様と同じセリフで西郷さんを励ますこのシーンは熱い気持ちが込み上げてきました。

「最後までやり通せ! それでダメだったら帰ってこい。あとは若い者に任せれば良い」と、国父の名の通り父親のように後押ししてくれているのがよかったです。久光様こんな大きかったっけ? とびっくりするぐらいの聖人でした。

今回は久光様回でしたね。

近代日本初の汚職事件

こんな不名誉を賜ったのは山縣有朋でした。

彼は同じ長州藩出身で仲のいい山城屋に無担保で陸軍省のお財布から60万円もの大金を貸し付けて、キックバックを受け取っていたとか何とか。

当時の1円の価値は今で言う2万円に相当するなんて言われているので、それを元に計算すると600,000 * 20,000 = 12,000,000,000円。120億円とかスケールでかすぎて何が何だか……。ロト7で1等の10億円を12回当てないといけません。

この事件は山城屋事件と呼ばれていますが、何より闇深なのがお金を借りた側である山城屋が切腹し、証拠が焼かれた点。

法的な追及は難しくなり、辞任を求めるのが精いっぱいだったとか。

おおこわいこわい。

山縣有朋役の村上信悟さん、真田丸で直江兼続を演じていた時は飄々としてたけど、今回はショボーンとして顔で去って行きました。

なお、代わりの人材が居なかったため、のちに復帰して内閣総理大臣にまで上り詰めた模様。

鹿児島でつんちゃん映った

よかった、今回はつんちゃん映った! ごじゃもちらっと映りました。

明治時代あたりはかなりイベントすっ飛ばして進んでる感じもしますが、それでも犬シーンを入れてくるのはさすが。

西郷さんといえば犬ですもの、そこは押さえておきたいポイントです。

西郷さんの家では菊次郎が自分の意思で異国行きを決意。天子様をその目で拝したことがきっかけのようでした。

ここで力強く菊次郎を応援する西郷さんも父親らしさが現れていました。国父様と西郷隆盛、西郷隆盛と菊次郎、この対比も良かったです。

糸さぁも甘やかすだけじゃなくて、母親として自分の意思で決めることを促していましたし、菊次郎愛されてるなぁと感じます。

西郷さんもっちりした

最後のシーン、西郷隆盛役の鈴木亮平さんの首回りがもっちりしてました。

みんなのイメージする西郷隆盛に近付いている感じがします。

相変わらず役に合わせるのが全力投球です。このガッツを見習いたい。

まとめ

今回は久光様回。前半は花火大会をして自分の存在を誇示しようとしてたのに、天子様に会ってからは国父の名前に恥じない父親としての大きさを示しました。

さて次回は何だか不穏な感じでしたね。

岩倉使節団としてアメリカに赴いた大久保一蔵でしたが、そこで嗜んでいたたくあんコーヒーをアメリカの人々にバカにされたことでダークサイドに堕ちたようです。

たくあんコーヒーを世界に知らしめるため、その第一歩として明治新政府の権力を掌握しようと企む大久保一蔵。「若い者が堂々とたくあんコーヒーを嗜める国にせにゃいかん」と西郷さんにも牙を向きます。