いだてん37話感想「最後の晩餐」嘉納治五郎ロスは大きい

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逆らわずして勝つ

とどでございます。

ドラマ『いだてん』の真の主人公、嘉納先生が志半ばでこの世を去ってしまいました。

嘉納先生がいてこそのいだてん。「人生で一番楽しかったこと」をテーマに過去のオリンピックを振り返っているところでもう泣いてました。

「逆らわずして勝つ」を貫いて、多くの人から信頼されていた人でもありました。

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今回のサブタイトル

今回のサブタイトルは『最後の晩餐』。1949年に新潮社から刊行された石川淳の小説が元ネタでしょうか。まぁ元ネタの元ネタはレオナルド・ダ・ヴィンチの絵ですね。

エジプトから帰る途中の船でご飯をモリモリ食べていた部分が最後の晩餐なのでしょうか。

77であんな分厚いお肉を平らげるなんて、嘉納治五郎は本当に150まで生きるんじゃないかと思われるくらいに元気だったのに、非常にショックでした。

みんなの思惑

1937年時点で、嘉納先生、副島さん、田畑のまーちゃん、河野一郎、そして金栗四三の東京オリンピックに対する考え方が見事に分かれていました。

1940年の東京オリンピックの開催が決まったとはいえ、課題は山積み。日中戦争が始まってしまったこともあり「そもそもこの状況で開催できるのか?」と疑問を投げかける声がある状況です。

嘉納先生

ラトゥールを東京に招待して日本の姿を見てもらうなど、東京オリンピック招致に尽力していた嘉納先生。

しかし嘉納先生はベルリンオリンピックを見た結果、日本の神宮競技場ではベルリンオリンピックを超えることはできない! と新しい競技場を建設しようとします。

スポーツのイベントしてではなく、国威発揚の場としてのオリンピックになっているような……。軍への協力を取り付けたのは嘉納先生という話も出てきたので、ベルリンオリンピック以前の嘉納先生とはちょっと考え方が変わっているようです。

何が何でもベルリン以上のオリンピックを! と意気込むあまり話が進まず、開催自体に危険信号が出てきているみたい。こういう状況だからか、精神的にもちょっと余裕がなくなっているのかもしれません。

副島さん

オリンピックはスポーツの祭典であり、政治的な要素や国家の思惑とは切り離すべき、という考え方です。現代のオリンピックの考え方に一番近いのが副島さんかもしれません。

メインスタジアムを神宮として進めようとしますが、ベルリンの会場を見て圧倒されてしまった嘉納先生が反対しているためなかなかうまくいきません。しかも後ろでは軍が睨みをきかせている状況……。

前回まーちゃんに「嘉納先生は変わった」と漏らしたように、嘉納先生とはこの時点で異なる考えです。

まだ他の都市に開催を譲ることができるうちに勇気を持って返上すべきと主張しますが、突っぱねられてしまいます。この返上の考えは今後日本で開催することを見据えてのことでしたが、間接的には金栗四三が経験したようなオリンピック自体が開催されない危機を回避する側面もありました。

当時の首相である近衛文麿にも「国として援助を増やしてほしい、さもなければ開催は危ない」と伝えたことから、嘉納先生との溝はどんどん深まるばかりです。

まーちゃん

東京オリンピックを開催したい気持ちは人一倍大きく、東京への招致活動でもイタリア、オスロへ同行しました。東京オリンピックが決まった時はみんなで諸手を挙げて喜んでいましたが、ラトゥールから「You、ヒトラーに感謝しなよ」とこっそり言われて「なんだかなぁ」という気持ちに。

ベルリンオリンピックへは水泳の監督として同行し、ヒトラーに直接お礼を言ったものの、政治的なパフォーマンスが目立つベルリンオリンピックへの違和感はぬぐえませんでした。

そして日本に帰ってきてからは嘉納先生の変わりように戸惑いながら、副島さんとの板挟み状態に。東京オリンピックでも政治的な動きが出てきてしまい、スポーツの祭典としてのオリンピックを開催するんだ! というまーちゃんの良さが削がれている状況。これには奥さんも気付いていて、大事なところで喝を入れてくれました。

嘉納先生がエジプトで開催されるIOCの会議に赴く時には「返上するなら同行する」と自分の立場を表明しました。

河野一郎

代議士としての立場から、東京オリンピックの開催を返上すべきと考えています。もともとIOCで東京に票が入ったのはヒトラーが動いたから、と考えている河野は、オリンピックの開催と引き換えにドイツと同盟を結んだことにも思うところがあるようです。

そして盧溝橋事件から日中戦争が始まってしまったことをうけ、戦争状態にある国での開催はできないこと、国家で力を合わせると言いながら一方の若者はオリンピックのためにスポーツに励み、もう一方は戦地に赴く、この状況でひとつにまとまることができるのか、と国会で疑問を投げかけます。

もともと箱根駅伝を開催する時に金栗四三に協力してくれていた河野はスポーツ自体が嫌いになったのではなく、あくまで国の状況と照らし合わせて現時点でのオリンピック開催は無理だと判断したようです。

金栗四三

東京オリンピックの聖火ランナーとして街を走る予定の金栗四三。嘉納先生に協力する姿勢でおり、河野一郎が国会の中で「オリンピックは返上すべき」と述べていたのをラジオで聞き、朝日新聞社に乗り込んで行きました。

選手として一番調子が出ていた時期にオリンピックが開催されなくなってしまった絶望感を知る金栗四三は、何としても開催してほしいと朝日新聞社にいた田畑に訴えます。

自分の思いを継いで走る小松勝くんを見ていることもあり、彼の夢が絶たれることは避けたいと願っています。

エジプトへの出発

東京オリンピックの準備状況を伝えにエジプトに向かおうとする嘉納先生。まーちゃんが「返上しましょう。返上なら同行する」と言っていましたが、嘉納先生は「東京オリンピックはやる!」と強く決意を表明しました。結局まーちゃんは同行せず、嘉納先生ひとりでエジプトに行くことに。

この時の嘉納先生は「何も持って行かない」と報告できる成果もないままエジプトに乗り込んで行きました。エジプトではそれはもうフルボッコな状態です。

でも堂々と「返す言葉もございません。ですが、30年IOC委員として一緒にやってきた嘉納治五郎を信じてください。東京では、政治とスポーツが別であることを証明します」と演説する姿は見事でした。

日本語で「逆らわずして勝つ!」と柔道の精神を叫んでいるのも嘉納先生らしいですね。日本で実際にこの精神に触れたラトゥールが笑ってるのも良かったです。嘉納先生じゃなかったら1940年の東京オリンピックはやっぱり無理でしたね。

小松くんの活躍の裏で

小松くんが競技大会でいい成績を出していました。りくちゃんともなんだかいい感じになってきたし、彼もオリンピックに出場して順風満帆に……と思いきや、日中戦争が長引いてなんだか嫌な感じに。

競技会をやっている裏では若者が出征していく姿が描かれており、スポーツに打ち込んでいる人がいる一方で戦争に向かう人もいるのが浮き彫りになりました。水泳を練習している選手達も「親族が出征しているのに、自分はここで泳いでいていいのか……?」と罪悪感もあって練習に打ち込めていない様子も描かれました。

他の人が命を賭けているのを見ながら「自分にはオリンピックがあるから」なんて言えませんよね……。子供が出征した親からしたら、「なんでうちの子だけ……」って思うでしょうし、そういう目を向けられることだってあるかもしれません。

平沢さん登場

エジプトからカナダのバンクーバーを経由して日本に帰ろうとした嘉納先生は、そこで平沢和重と出会いました。この平沢さん、第1話に出てきて東京オリンピック招致のスピーチをしていた方ですね。「おげんさんだ!」とちょっとテンション上がっていたのを思い出します。

そしてその時の紹介が「ジゴロー・カノーの最期を看取った人」でした。ここでこのセリフが出てくると、あっ……(察し) の状態です。

この時の嘉納先生はまだまだ元気で、とても大きいお肉をむしゃむしゃ食べていました。放送後のおまけで嘉納先生が船に乗る映像が流れていましたが、とても元気そうな様子だったのでなぜこの旅で……と思わずにはいられません。

海が時化て、船がぐらんぐらん揺れたところで嘉納先生も少し体調を崩したみたいで、辛そうにしていました。

しばらくしてお茶会に出席できるくらいには回復したようですが、ここでの「人生で一番楽しかったこと」をテーマにオリンピックを振り返るシーンは涙を誘います。直前に平沢さんの文字通りクソみたいな話とのギャップがずるいです。

嘉納先生が持ってくるサンドイッチの旗がオリンピックの開催国になっているのが細かくていいですね。

ここで羽田の競技場から振り返るのがとても良かったです。いだてんの金栗四三が競技場に帰ってきたところを嘉納先生が抱きとめるシーンは、今回小松くんを四三さんが抱きとめるシーンと重なります。

どのオリンピックの話をしても「一番じゃない」と語る嘉納先生。そこに「東京オリンピックが一番なんじゃないですか?」と平沢さんがポツリと投げかけます。「それだ!」と東京オリンピックの開催に邁進しようとする嘉納先生でしたが、志半ばで斃れてしまいました。

さようなら嘉納先生

日本へは無言の帰国となってしまった嘉納先生。多くの人に囲まれながらの別れでした。遅れてやってきたまーちゃんに平沢さんから渡されたのは、嘉納先生が羽田の競技会から使っていた懐中時計。ストップウォッチがまだ動いていたのは、まーちゃんに想いを託したってことでしょうかね。

棺がオリンピックの布で覆われているのを見ると、オリンピックと共に生きてきたことが伺えます。彼がいなかったら日本がオリンピックに参加していなかった可能性もありますからね。ましてや東京でオリンピックをやろうなんて話は絶対出てきてなかったでしょうし。

ドラマ『いだてん』の真の主人公は、嘉納治五郎先生でした。

まとめ

嘉納先生は東京オリンピックの開催を見ることなく志半ばで去りました。想いを継いだ田畑が東京オリンピック開催に向けて奮闘してくれそうな様子でしたが、状況がそれを許してくれない予告でしたね。予告で小松くんが戦地に向かう姿はショックでした。

次回のサブタイトルは『長いお別れ』。1953年にアメリカで刊行されたレイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説です。

2019年に日本で同じタイトルの映画も公開されています。こちらはチャンドラーと関連はなく、中島京子さんの小説を原作とした同名の映画ですね。

予告を見る限りでは嘉納先生とのお別れ、小松くんとの別れでしょうか。

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