いだてん38話感想「長いお別れ」五りんの父は分かったけれど

2020年2月15日

いっぱい入った神宮スタジアム

とどでございます。

四三さんの弟子・小松くんとりくちゃんが結婚し、生まれたのが五りんでした。それが分かったのはいいんだけれども、小松くんは満州に出征してしまいました。

前回は嘉納先生がいなくなり、今回は小松くんが戦争に行ってしまい……と四三さんにとっては辛い別れが続きます。

今回のサブタイトル

今回のサブタイトルは『長いお別れ』。1953年にアメリカで刊行されたレイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説です。

2019年に日本で同じタイトルの映画も公開されています。こちらはチャンドラーと関連はなく、中島京子さんの小説を原作とした同名の映画ですね。認知症が進んでいく父親との生活を描いた小説です。

このタイトルは四三さんの立場から嘉納先生、小松くんとの別れを表しているのでしょうか。

志ん生も倒れた

先週の記事で一切触れませんでしたが、1961年に志ん生(老)が倒れました。一命をとりとめたので良かったですが、まだ入院中のようです。

このニュースを伝えている時、まーちゃんの机の引き出しでは、嘉納先生に渡されたストップウォッチがまだ動いていました。この演出、とても良かったです。

後のシーンでカップラーメンの時間を測るのにも使ってるのはシリアス感を吹き飛ばしてました。止めちゃいそうになるのもギャグ感あって息抜きできました。いやもう過去シーンが重くて重くて……。

今回志ん生は弟子の五りんの前でだけ起きていて、ちょっとずつ満州の話をしてくれているようです。五りんと志ん生にも実は縁があった感じですかね。

嘉納先生とのお別れ

無言の帰国となった嘉納先生の出棺が行われました。可児くんや永井さんがいたのが嬉しかったです。まだ元気にしてたんですね。

嘉納先生とのお別れの際、金栗四三は「東京オリンピックは絶対やる」と呟いているのが印象的でした。四三さんはスポーツの選手側として、まーちゃんは監督側、運営側として嘉納先生の意志を継いでいる様子。

この場面では車屋として嘉納先生を載せたことのある清さんも駆けつけてくれました。最初期に関わっているのが清さんですから、その悲しみも大きいことでしょう。

嘉納先生の訃報を知らせる新聞ではラトゥール(ラ伯)が弔電を送ったとも書かれていたので、悼む人が大勢いたことが伺えます。

1940の東京オリンピックは幻に

嘉納先生の意志を継いで東京オリンピックを開催……! とはならずに、IOC委員の副島さんの決断で東京オリンピックの返上が提案され、政府の発表で東京オリンピックの中止が決定しました。

「やめるのはオリンピックじゃなくて戦争でしょ!?」というまーちゃんの叫びが辛いです。いやもうほんとその通り。

でも当時の政府って軍部に銃を突きつけられながら政治をやってた感じで描かれているので、休戦しますなんて勝手に言ったら二・二六事件のようにパァンされるのかもしれません。怖い。

金栗四三が1916年のベルリンオリンピックで「オリンピックがなくなった」と告げられたことがありましたが、今度はオリンピックを目指す小松くんへと中止を告げる立場になってしまいました。

「彼にはどぎゃん言うたらよかですか」と、どのように伝えたらいいか迷う四三さんに対し、「返上! だからもう走らんでよか!」と熊本弁で小松くんを止めるまーちゃん。嘉納先生のようにズバッと伝えました。

ただ小松くんは「返上なら別の都市でやるはずだからそれに出る」と希望を持っていました。

小松くんの結婚

「オリンピックに出れるか分からないから熊本に帰ったら?」なんて勧めていた四三さんでしたが、小松くんはりくちゃんと仲良くなっていたみたい。

戦時中だからかひっそりと結婚式を挙げました。

増野さんは自分が震災で妻(シマちゃん)を失った時に感じた大きな悲しみを抱えているので、りくちゃんにはそれを味あわせて欲しくない、と小松くんへと語りかけます。この時は小松くん、自信満々で「約束します!」と笑顔だったのですが……。

太平洋戦争が始まってしまい、戦況の悪化による戦力不足を補うため、学生までもが徴兵の対象になってしまいました。小松くんも例外ではなく、兵隊に取られてしまいました。拒否したらりくちゃんや金治がどうなるか……なんて考えたら行くしかないんですよね。

増野さんが「約束、破ったな!」と烈火のごとく怒りながら飛び込んできたのも、どうしようもないことだと分かっていても言わずには居られなかったんだと思います。

神宮のスタジアムで壮行会

でもこの壮行会はオリンピックの壮行会ではなく、学徒を戦地に送り出す壮行会でした。

「万歳!」の声に悲壮感がこもっているのが辛いです。

別のシーンで大本営発表に対して朝日新聞社の面々が「万歳!」と言っていたシーンがありましたが、「田畑、嘘でもいいから喜べ」と緒方さんが言っていたように、嘘でも喜んで送り出さなければ捕まってしまうような状況だったのでしょう。

本当にこれがオリンピックの壮行会だったら、みんな心から喜んで送り出せたのにね。

まとめ

嘉納治五郎ロスから悲しい雰囲気、重い空気が漂っています。東京オリンピックも返上しちゃったし、避けては通れない部分ですけどまだまだキツイ回が続きますね。

予告では満州で小松くんが撃たれていそうなシーンもあるのが辛いです。あと美川くんは満州に渡っていたんですね。「これからは満州だよ」と言っていたのを実行に移すとか、行動力ありすぎぃ!

次回のサブタイトルは『懐かしの満州』。満州の映像記録を残した映像作品が元ネタでしょうか。