いだてん39話感想「懐かしの満州」志ん生の富久は絶品から膨らむ話

2020年2月15日

最期まで走りぬける

とどでございます。

1話で出てきた「志ん生の富久は絶品」という言葉から生まれた回でした。

五りんの父親である小松くんが満州で志ん生と会っていたことが分かり、志ん生から五りんに対して父の最期が伝えられました。

学徒出陣で満州に向かった後の様子が分からなかった小松くんですが、やっと五りんも様子が分かってある意味安心できたのではと思います。

今回はオリンピックに関する話というよりは、『いだてん』のストーリーにとって一区切りとなる回でした。

今回のサブタイトル

今回のサブタイトルは『懐かしの満州』。満州の映像記録を残した映像作品が元ネタでしょうか。

流石に当時の様子は知らないので「懐かしいなー」とは言えないですが、五りんの恋人であるちーちゃんは「懐かしい」みたいなこと言ってましたね。若く見えて実は志ん生と同じくらいの年、なんてオチだったらいだてんは覇権取るかも(過言)

満州での小松くん

今回のキーポイントは五りんの父親である小松くんの最期が語られた点。五りん本人はこれまで、小松くんが満州から出そうとしたハガキぐらいしか手がかりがなくて、父親のことをよく知りませんでした。

それが満州で一緒に行動したことのある志ん生の口から語られたのは、五りんにとって運命的とも言える出来事。

視聴者の立場からしても、学徒出陣で戦地に行ってしまった小松くんの動向は気になる所でしたが、まさか志ん生の富久を聞いてランニング指導を行っているとは。満州にも金栗先生の著書である『ランニング』を持って行っていたのも崇拝ぶりが伺えます。

部隊長が「俺は死にたくねぇ!」とふんどし一丁で逃げ出して沖縄での玉砕を免れた小松くん。確実に命を落とすと分かっている所にいくよりは、生き延びる確率が上がったのでしょうか。とはいえ脱走兵ですから、敵も味方も命を狙ってくるというハードモードな立場です。

関わりを持たないようにしようとする志ん生と圓生でしたが、小松くんに命を救われたことで一緒に行動することに。戦争の終結を知った彼らは、ウォッカを飲みながらこれからどうするか考えることに。それぞれが日本にいる家族のことを口にしているのがとても印象的なシーンでした。

小松くんはウォッカ一口二口でべろんべろんになったのが意外でした。熊本出身だしザルのようなイメージでしたが、志ん生のいう通り「酒で失敗するタイプ」ですね(笑)

富久を聞いてから

明日への希望を持てない大連での高座、誰も客が来ないと思っていたらたくさんの人が来てくれました。どうせダメなら、せめて楽しく笑ってからと切ない笑顔。

ここで披露した富久は小松くんのアドバイスをふんだんに取り入れたもの。それがお客さんにも大受け。小松くんは走っている様子が目に浮かんでそのまま走りに行ってしまいました。

ここでハガキに書いたのが「志ん生の富久は絶品」の言葉でした。1話からの伏線がここで回収されたのが気持ちよかったです。

「なんで危ないと分かっていて走り出したのか」

というのはあるかもしれませんが、満州に来て1年、走ることに命を懸けていた人が自由に走れなかったフラストレーションもあったことで、志ん生が体を使って走る富久でいてもたってもいられなかったのでしょう。

ただ運悪くソ連の兵に見つかってしまってそのまま帰らぬ人となってしまいました。もしあの時逃げなかったらシベリアに抑留されていたかもしれませんし、ただただボコボコに殴られていたかもしれません。

やっと走ることができて、この後どうなるか分かっていても最期の瞬間まで走っていたかったのかも。富久の語りと小松くんの逃げるシーンが重なっているのがまた切ないです。

いだてんだとギャグシーンでシリアスを引き立ててくるから油断できません。

森繁久彌さんがいた

これおじいちゃんおばあちゃんにとっては嬉しい演出じゃないですかね。昭和の大スターですから。私はもののけ姫のイメージが強いですが。

名前だけは聞いたことがある、という方も多いかもしれません。

この方はこの時期NHKのアナウンサーとして満州にいたようで、wikipediaソースなのでほんとかどうかは知りませんが志ん生と圓生とも会っていたようです。

白いあごひげが印象的だっただけに、若い頃が想像できない人でもあります。

志ん生の偽装結婚

密航船に乗り込めるのは夫婦が優先、という噂を聞きつけて満州で偽装結婚しようとした志ん生でしたが、相手はなかなかの豪傑な飲兵衛だったようで、耐えきれず逃げ出しました。

画面に映るとだいたい酒を飲んでいる志ん生より強い女性ってすごいですね。

食うや食わずで生き延びて、なんとか日本に戻ることができました。

日本人だとバレたら命を奪われる環境で2年近く生き延びるのは至難の業。満州から引き揚げた方々のインタビュー記事を読むと、終戦後に日本に戻ってくるまでが地獄のような状況だったことが分かります。

美川くんが生きてた

熊本でカフェーをやっていた美川くんは、なんと満州でウォッカを売っていました。何回か会っているはずの志ん生には忘れられていましたが、終戦後もたくましく生きていたようです。

スヤさんにはゴキブリ扱いされていた美川くん、戦後のゴタゴタしている満州でもたくましく生き延びているみたい。文学少年のイメージはなくなって、どこでも生き延びるすべを身につけたサバイバーになりました。

東京オリンピックの時にひょっこり戻ってくるのかしら。

まとめ

今回は五りんの父親である小松くんの最期が志ん生から語られた回でした。次回からはいよいよ1964年の東京オリンピック開催に向けてラストスパートです。

次回のサブタイトルは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。1985年に公開されたハリウッド映画です。時間旅行系のストーリーのツボを押さえた映画なので、是非とも1回は見ておきたい映画。

まーちゃんがデロリアンに乗って現代の日本にやってくるとか、未来のまーちゃんが過去のまーちゃんを助けに来るとかそんな感じでしょうか。SF系大河ドラマいだてん、乞うご期待。