いだてん41話感想「おれについてこい!」合言葉はおれのオリンピック

2020年2月15日

合言葉はおれのオリンピック

とどでございます。

ドラマの中ではいよいよ1964年の東京オリンピック招致のタイミングに追いつきました。過去を語るのではなく、一緒に東京オリンピックに向けて走っていく感じですね。

2020年の東京オリンピックの方もここに来てマラソンの開催地が変わるゴタゴタがあり、「当時も今もこういった調整は大変なんだなぁ……」と感じ入ります。どうせなら東京でマラソンをやって欲しかったですが、いだてん視聴者的にはストックホルムオリンピックのラザロの件が頭にあるので、選手の身の安全が第一だと思っちゃいます。

今回のサブタイトル

今回のサブタイトルは『おれについてこい!』。1965年に公開された日本映画です。東洋の魔女と呼ばれた日本女子バレーチームのお話です。「おれ」と言ってるのは監督のことでしょうか。

監督役のチュートリアル徳井さんはプライベートな方で問題を起こして、NHKでは新たな出演等を見送ることにしたようですが、今回の放送では出てました。東京オリンピックで金メダルを獲った東洋の魔女の話は外すことができないでしょうから、変に切られて物語が意味不明になるよりはマシかも。

ピエール瀧氏のように撮り直しはしないそうなので、これからも外せない部分は出てくるのかも。流石に「撮り直しします!」なんて言ったら「もー、また受信料を無駄に使って!!!」と怒られますもんね。

インパール作戦からの生還者

演じている人のことはいったん置いておいて、大松監督のセリフに注目すると、「戦時中はインパール作戦に従事した」と言っていました。

インパール作戦といえば、『失敗の本質』のなかでモデルケースのひとつとして挙げられている無謀な作戦です。この本では該当の章の最初から「しなくてもよかった作戦」と書かれるほど。

この作戦に参加したのは約9万人ほど、そのうち戦死者が約3万人、戦傷者戦病者が約2万人、残った人の半分も病人だったとか。地獄のような結果に終わった作戦でした。

これだけ犠牲を出したのに、旧日本軍としては「なんの成果も!! 得られませんでした!!」と帰ってくることになった悲劇。(遠因としてイギリスの植民地支配を受けていたインド独立のきっかけとなったことを考えると全くの無駄とは言い切れませんが、それにしては犠牲が多くて……)

ビルマ(現在のミャンマー)から2000M級の山々を超えてインドのインパールに向かうのに、補給を軽視した「食糧より弾薬を」という精神論で突っ走った結果、餓死者や感染病患者を多数出す結果になり、「史上最悪の作戦」とまで言われる作戦でした。もちろん、師団長クラスの人たちが「いやいや無理無理無理無理。補給ないとかあり得ないでしょ。今からでも中止しようぜ」と止めましたが、立場が上の司令官だった牟田口中将が彼らを更迭し、誰も反論できなくなってそのまま作戦続行するハメになりました。

この司令官にも上司がいたのですが、「牟田口くん、盧溝橋事件の時にやらかしちゃってるから、なんとかチャンスあげたいんだよね(意訳)」と止めるどころか意見を通しちゃったのです。人情を優先してしまったあまり、組織として合理的な判断が欠けてしまったのでした。

この作戦を生き延びた大松監督、復員後は女子バレーの指導に携わり、東洋の魔女と呼ばれるほどの強いチームを作ったのでした。今回のサブタイトルは大松監督の口癖である「おれについてこい!」となっています。

回転レシーブ

軍隊式の厳しい練習を見たまーちゃんは、選手に対してあたりが強い大松監督を連れ出し、柔道の練習光景を見せました。暴言や怒号がなくとも鍛錬に励む様子を見せようとしたのですが、大松監督はなんと、受け身の様子を見て回転レシーブを思いつきました。

説教しようとしたらヒントをあげた感じでしたが、本当にこんなエピソードがあったなら楽しいですね。

おれのオリンピック

という名のジオラマが完成しました。スーツケースに入れて持ち運べるようにしているところがまーちゃんらしいですね。見ると嬉しくなるものを持ち運ぶ気持ち、分かります。

ことあるごとに「おれのオリンピック!」と叫んでスーツケースを持って来させるシーンが入ってましたね。最初のぶっ続けのシーンでは興奮しすぎてジオラマの一部を壊しちゃってたのもある意味まーちゃんらしいかも。変にあのシーン取り直すよりらしさがありました。

名前が「おれのオリンピック」なので、政治家の先生からすると「私物化するな!」とあらぬ誤解を生んでいたみたい。視聴者からするといつものまーちゃんですが、いきなりこんなこと言ってたら「こいつなんやねん」となるかも。

オリンピックが絡むと様々な思惑が絡むのもあってか、今回は政治家の先生たちが絡んで来ていました。浅野さんのねっとりとした演技がいいですね。強キャラ感あります。

黒澤明や亀倉雄策

世界の黒澤明が協力してくれました。最初は記録映画の監督を引き受けてくれて、いつの間にか聖火ランナーの演出までしていました。さすが世界の黒澤明。

黒澤明といえば芥川龍之介が書いた「羅生門」と「藪の中」を合体させた映画「羅生門」を作ったことでも有名です。とある事件に対して、関わった人々の証言が食い違っていて、多角的に見ていかないと真相が分からないスタイルのお話です。

「まーちゃんがいるから協力しようという人が出てくるんですよ」と都知事の東さんが言っていましたが、この人も「まーちゃんがやるなら」と協力してくれた人ですね。

東京オリンピックのロゴを作成した亀倉雄策も登場。NTTのロゴマークやグッドデザイン賞のマークを作った人です。すごい。

NHKだから商品名を出せないようでしたが、明治製菓のロゴも彼が作りました。明治のチョコが映ってましたね。

この時代になると、知っている人も多くなってきました。大河ドラマですが河口あたりにいる気分になれます。

嘉納先生の喝

オープニングで「嘉納治五郎(声)」となっていて、「何かの手紙を読むのかな?」なんて思ってました。

が、肖像画で出演するとは。

東京オリンピックでどの競技を種目に加えるかの議論では、まーちゃんがバレーボールを推しているのに対し、他のみんなは柔道を推しました。

まーちゃんがバレーをゴリ押ししようとしたところに、「田畑!」と嘉納先生の声が。肖像画を動かしてアピールしていました。

これ、ギャグテイストのドラマだからいいですけど、普通にポルターガイストですね。こわい。

幽霊が出た大河ドラマとして今後も語り継がれ……はしないか。

来週の予告でも肖像画から衝撃波のエフェクトが出ていたので、また嘉納先生が降臨するようです。なむ。

岩ちんイケメンすぎ問題

松坂桃李さんが演じる岩ちん(岩田幸彰)、放送後に本人の写真が出てきましたが、めっちゃイケメンでしたね。東大卒、ヨット競技をできるほどの財力、しかもインカレ1位。

小説や漫画だったら属性盛りすぎって怒られるレベルです。

1964の東京オリンピックの話に追いつくと、影響力のある年配の人の役が多いから、画面の彩りを考えてイケメン俳優をねじ込んだのかな? なんて思ってましたが、岩ちん自体がイケメンでした。

そんな彼はまーちゃんの思いつきでローマのオリンピックを1年間も視察しに行きました。会社も辞めて、オリンピックのために人生を捧げています。

取材の中でアベベの走りをリアルで見たってのは大きな感動ですね。しかも裸足で走っているんですもの。

帰ってきたらイタリアっぽいファッションになっているのもポイント高いです。

平沢さん酷使されすぎ問題

東京オリンピックで追加する競技についてのスピーチを行った平沢和重さん。招致のスピーチでは見事に東京オリンピックを呼び込みましたが、ここでも活躍しているようです。

でも近代五種を外すと述べた瞬間からIOC委員たちからの集中砲火が始まりました。言葉が分かるだけにダイレクトに怒られていてかわいそうでした。

しかもまーちゃんの暴言を訳さなければならないとか、火に油を注ぐってレベルじゃありません。

「もう勘弁してください」

とまーちゃんに愚痴るものの、「もう一個だけ」と代々木の米軍住宅の返還交渉を求められました。大変だ。

最初は嫌そうにしていましたが、まーちゃんがロサンゼルスオリンピックで体験した選手村の様子を聞くと、「ひとついい考えがあります」と乗り気に。なんだかんだやってくれるのがすごいです、平沢さん。

まとめ

最後は浅野さんの悪い顔で締め。これは悪いこと企んでますよ。

次回のサブタイトルは『東京流れ者』。1965年に発売された歌謡曲で、渡哲也さんと竹越ひろ子さんが歌っていた曲です。次の年には渡哲也さん主演で同名の映画が制作されています。主題歌はもちろん東京流れ者。