いだてん44話感想「ぼくたちの失敗」タロットカードが不吉すぎィ!

2020年2月15日

私たちは負けた

とどでございます。

タイトルからして敗北を感じます。いや別に争っていた訳では無いんですけどね。

選手のために……と考えてジャカルタの大会に参加したことで、その責任を取らされることになったまーちゃん。川島さんにしてやられた感じです。

津島さんが「逃がさん……お前だけは」とまーちゃんまで道連れに辞任したのには結構ショックでした。ジャカルタ大会で楽しんでいたから、多少仲良くなったのかと思いきや、そんなことはありませんでした。

今回のサブタイトル

今回のサブタイトルは『ぼくたちの失敗』。1976年にリリースされた森田童子さんの曲です。タイトルがもうまーちゃん敗北ルート……。

「どこで間違えたんだ……」と自分に問いかけると、高橋是清に「金を出して口も出す」と言っていた自分の姿が思い出されました。あの時自分が言っていたことがこんな形で返ってくるとは。

サブタイトルが「ぼくたちの」になっているものを選んだのは、ドラマの中でまーちゃんが「俺のオリンピック」という言い方から「俺たちのオリンピック」に変わったのとも関連しているのでしょうかね。

ジャカルタの大会に参加

インドネシアのスカルノ大統領との会談を終えた川島さんは、大会参加に足踏みする日本選手団の元へ。

「どっちでもいいから決めようぜ」

と津島さんとまーちゃんに結論を出させようとするあたりが政治家の強さです。「自分が決めた訳じゃないから」と言えるようにしておくのは中々したたかですね。

結局まーちゃんは選手のこと、インドネシアのことを考えて参加することに。選手たちは獅子奮迅の活躍で155個のメダルを獲得しました。凄すぎです。

しかしこれが後に問題に繋がってしまいました。

まーちゃん批判が目的の新聞

「東京オリンピックが取り上げられてしまうかもしれない! 組織委員会は優柔不断!」と古巣の朝日新聞までまーちゃんを批判し始めました。

ジャカルタの大会でメダルガバガバ大作戦を成し遂げたのに、その活躍はどこへやら。

「責任! 責任!」

と辞めるまで許さないムードに。

さらには参考人招致まで行われてしまい、政治家たちからもまーちゃんへの集中砲火が始まりました。

もう少し発言に気をつけていれば……と思わなくも無いですが、後の祭りですね。

逃がさん……お前だけは

結局ジャカルタの大会に参加したことでIOCから怒られたのはインドネシアだけで済み、日本は無事でした。結果を見れば日本の選手たちは夢を奪われなかったのでよかったです。

「じゃあ次はオリンピックの曲の歌詞を考えよう」と岩ちんと盛り上がっていたのも束の間、懇談会で「津島さんと田畑さんの責任問題を議題とする」なんて追い出されてしまいました。

まーちゃんまで辞めることになったのは、津島さんが「辞めるのはいいが条件がある。田畑も辞めさせてくれ」と言ったからでした。

ドラマ的には、まーちゃんが津島さんのことをボロクソに言っていたのを聞かれた場面があって不仲のような感じはありましたが……。あの後「津島さんは俺が守る」とフォローしていたのは聞いてなかったっぽいし、そうだとしたら死なば諸共感があってもしょうがないかも。

津島さんを演じている井上順さんは、真田丸の時も終盤に出てくる憎まれ役だったような……。あの時は織田信長の弟、織田有楽斎を演じていて、幸村サイドからすると徳川と通じている裏切り者でした。

今回も主人公サイドからすると「なんばしよっと!?」とツッコミを入れたくなるような役どころでした。

「このまま続けていたら、なにをするにしても批判に晒されてしまう田畑を、自ら引責会見させることで助けたかった」みたいな意図があったりしませんかね?

涙の会見

「オリンピックをやっていたかった」

と涙ながらに会見するまーちゃん。津島さんが喋るたびに「いいかい?」と入って思いの丈を語っているのがギャグっぽく演出されていたので泣かずに済みましたが、さぞ悔しかっただろうなと思います。

放送後のリアルまーちゃんの会見を見るに、「いいかい?」は口癖だったんですね。

会見を見た今松の反応も一般視聴者の反応らしさがあっていい味出していました。渦中にいなければ、モニタで隔てられたテレビの中の出来事のように感じられますもんね。「こいつほんとおもしれー」って煎餅をかじりながら気楽に見ているのも、リアルな反応の一つです。

まーちゃんの引退に対して、まーちゃん本人は悔しく、仲間たちも悔しさを感じ、オリンピックに口を出せるようになった川島さんはほくそ笑み、一般の人は気楽に会見を眺め、といった形で様々な立場の反応が描かれていました。

私はまーちゃんサイドから見ていましたが、川島さんサイドからすると、オリンピックを日本の成長のきっかけにすることで、経済成長を促して国全体を豊かにすることができます。そうすると東京だけの盛り上がりじゃなくて、国のみんなが潤うような位置付けにもできますから、口をはさめるようになったのは前進なのかもしれません。(精一杯のフォロー)

オリンピックの精神を考えればこれは良くないので嘉納先生が怒りそうですけど。あ、今回嘉納先生のアドバイスはありませんでしたね。

五りん、逃げるってよ

志ん生と一緒に落語の練習をしている五りん。ちょうど富久の練習をしていたようで、「日本橋から芝まで」と言っているシーンが印象的。

もともと日本橋から浅草までだったのが、五りんの父が満州で「芝まで行った方が面白い」と志ん生に言ったことで距離が伸びたのでした。ここから「志ん生の富久は絶品」となったバージョンが息子に受け継がれているのがグッときます。五りんパートが一番大河してるかも。

が、その五りんは落語の二人会当日にどこかに行きました。師匠がやったように、師匠からもらった着物を質に入れてなにをするのでしょうか。

ひとりになった志ん生は独演会として出ることに。

この落語がまーちゃんの様子とリンクしていて良かったです。志ん生が練習しているときにおりん(奥さん)が影で見ていましたが、「女房には頭が上がらねぇ」と言っている状況が連動していたのがうまいなーと。

ロサンゼルスオリンピックの前だったか、金栗さんが帰ったと思って金栗さんのことを呟いていたのを聞かれていた場面がありましたが、菊枝さんがおでんを買いに行ったと思って菊枝さんに感謝していたのと重なります。よくよく思い出すと伏線があるのが良くできています。

この後まーちゃんの仲間たちが「俺のオリンピック」を持って駆けつけてくるのが熱いですね。あれはちょっとずるい。

三波春夫役が

ハマケンでした。伊藤博文に引き続き二役目です。大河ドラマで一人二役なんてあるんですね。

……って言おうと思いましたが、既にシマちゃんとりくちゃんで一人二役やってました。

三波春夫といえば「お客様は神様です」の言葉で有名です。そしてその言葉が誤解されていることでも有名ですね。

神様の前で芸を行うように澄み切った気持ちで歌う、だからお客様を神様に見立てている、ぐらいのニュアンスでしょうか。

お客様に媚びます、なんでも言うことを聞きます、というニュアンスではないので注意。

不吉なものを詰め込んだタロットカード

占いを100%外すことに定評のあるマリーさんがジャカルタにいたまーちゃんを占った結果、吊された男、塔、悪魔、死神と見事に不吉なカードばかりでした。「まさじ」を占った結果これだったら逆の結果になりますが、「せいじ」だと思って占ったとなると……。

吊された男は試練や忍耐を表すカードです。参考人招致で吊し上げられている姿がまさにこれでした。

塔は崩壊、破壊、転落、悲劇といった意味のカードです。通常、タロットだと絵柄が上向きの正位置と呼ばれる配置と絵柄が下向きの逆位置で意味が逆になるのですが、塔のカードだけは正位置も逆位置も良い言葉がひとつもないんです。

悪魔は裏切りや憤怒を表すカードで、東龍さんや津島さんの裏切りを表していた感じでしょうか。東龍さんは川島さんの圧力で裏切らされた感じでした。

死神はそのまま死やバッドエンド、破滅を表すカードです。現状の事務総長の地位を辞任することを暗示していたのかな。ただ、この死神のカードは「死と再生」を意味することもあり、ひとつの区切りをつけたことで次に進めることを暗示するカードでもあります。

それっぽいこと言いましたが、タロットカードはジョジョとペルソナで覚えました。

まとめ

嘉納先生の遺志を継いで東京オリンピックの開催に奔走したまーちゃんでしたが、政治的な動きに巻き込まれて辞任に追い込まれてしまいました。

クライマックス目前でこの状況はキツいですが、予告を見るとまーちゃんちでミーティングしていたようなので一安心。「いいじゃんね!」とまーちゃんのマネする岩ちんが楽しみ。

次回のサブタイトルは『火の鳥』。手塚治虫の有名な作品です。まーちゃんが灰の中から復活するからでしょうか。

火の鳥は自分を焼いてから若返って復活するので、まーちゃんの志を継いだ岩ちんが新しいまーちゃんとして東京オリンピックを盛り上げる感じかな。