麒麟がくる第二回感想「道三の罠」孫子の戦術を見事に生かした道三

2020年2月15日

きりんがくる

とどでございます。

今回は合戦シーンがメインでした。大人数でワーワーしていると合戦感があります。火のついた俵まで転がしてましたが、あれリアルに転がってきたらめちゃくちゃ怖いですね。

戦いに関しては孫子がテーマだったので、孫子の戦術が所々に散りばめられていました。

それもあってか美濃に攻めてきた織田の軍勢は策略に嵌められてずいぶんあっさりとやられちゃいました。あまりにあっさり過ぎ……と思っていたら叔父上に似た人と戦っていたりと、ヒヤヒヤするシーンも。あれ叔父上がガチで裏切ったものとばかり……。他人の空似で良かったです。

そして最後の最後に、伊右衛門のCMをやっている本木雅弘さんがお茶に毒を盛って娘の夫を亡き者にするという恐ろしい事態に。伊右衛門のCMを見るたびに笑ってしまいそうです。

孫子の兵法

堺で鉄砲を仕入れ、京で医者を見つけて帰ってきた光秀。主君の斎藤道三からのクエストは見事に達成しました。

「彼を知り、己を知れば……と言ったのは誰だったかな?」

との問いにも「孫子」と即答する光秀はさすが。

今回は孫子の兵法が随所に散りばめられていました。

ざっくり(意訳しながら)列挙してみます。

兵とは詭道なり

戦いとは敵を欺くこと。

→この言葉通り、わざと城に篭って油断させることで、敵のスキを作って背中から討ち取りました。

敵の城を攻むるの法は已をえざるが為り

(意訳)城を攻めるのは戦いの中でも特によくない戦い方で、城攻めでは兵士がたくさんやられるわ、準備も大変だわでマジで危ないからやめなさい。

→わざと退却して城攻めにさせました。

彼を知り己を知れば百戦して危からず

敵のことをよく研究し、自分たちの戦力もちゃんと研究して戦えば勝てる。

→何度か戦ったことがあるので、相手のことはよく知っている、と自分で言ってましたね。

凡そ戦いは正を以て合い、奇を以て勝つ

(意訳)通常は正攻法で正面からぶつかるけど、状況を見て敵が思いも寄らない方法で勝つんですよ。

→兵とは詭道なりと似ていますが、油断させて戦っていました。

凡そ先に戦地に処りて敵を待つものは佚し、後れて戦地に処りて戦いに趨く者は労す

(意訳)先に戦地にきちゃえば罠とか作りたい放題なので楽なんですよ。

→開幕落とし穴ハメ余裕でした。

故に諸侯の謀を知らざる者は、予め交わることを能わず

(意訳)近隣諸侯が何を考えているのか腹の中まで知らないと協力なんてできないですよね。

→土岐頼純の手紙を入手して腹の中を探るくらいお手の物です。

将軍の事は、静かにして以て幽く、正しく以て治まる

(意訳)将軍の仕事というのは、心を静かにして表面上は平静を装うんです。でも心の中ではちゃんと正しく作戦を進めて、味方の兵士たちにも将軍が何を考えているのか読めないようにしましょう。

→篭城作戦の真意は最後まで味方にも内緒にしました。ボロクソに言われてたけど。

間を用いざる所無し

(意訳)スパイ使わないやつとかいないっしょ。

→篭城する際、城の中にスパイがいる前提で作戦を立てていました。

故に反間を得て用うべきなり

(意訳)敵のスパイは情報めちゃくちゃ持っているから仲間にしようぜ。

→敵のスパイをうまく使って偽情報を流し、敵の背中を討ちました。

軽く思いついただけでこれだけ孫子要素が入っていました。

驚くべきは武士の子ではなく商人の子でこの戦い方をマスターしている点。底が知れない感じがして素敵です。

金半分返せよ

前回斎藤道三からお金を渡されて旅に出た光秀でしたが、無事クエストを達成したにもかかわらず、報酬をもらうどころか「金半分返せ」とまさかの借金になりました。

「侍大将の首2つ取ったらチャラにしてやる」と無茶振りまで追加。斎藤道三なりの発破の掛け方なのか、単に商人としてきっちりしているのか、結果として光秀はやり遂げたから良かったですけど。

戦場での光秀は「侍大将!」「侍大将!」と徘徊するやべーやつでした。「なあ 大将首だろうおまえ 首置いてけ!! なあ!!! 」の妖怪首おいてけを思い出しました。

お金に関していえば、「豊かなら争いは起こらない」との言葉もありました。商売のことも知っている道三ならではの言葉だと感じます。

合戦で太鼓の音を聞くと

ドドンドドンドン! 汗明!

が思い出されて笑いが止まりませんでした。キングダムの名シーンなのでぜひ読んで欲しい所。

キングダムはおいといて、合戦で陣太鼓やら螺貝で士気を上げているシーンが出てきました。

敵の進軍を受ける側が太鼓、攻めてる側が螺貝って事なんでしょうか。太鼓を持って行軍するとか辛いですもんね。

合戦シーンは気合入ってるなーと感じましたが、まだ誰が誰だか顔を覚えていない段階だと、兜をかぶっている人の見分けがつきませんでした。

「侍大将!」って言ってるのが光秀なのはわかりました。「無双かな?」ってレベルで雑兵を斬って捨てる姿は主人公らしいです。光秀ってどちらかというと知略に長けているようなイメージで、自分で敵を討ち取っているイメージがなかったので新鮮でした。

叔父上を討ち取ったのかと

ついに見つけた侍大将!

と思ったら叔父上そっくりでした。

「いきなり裏切ったのか!?」

と急展開にびっくりしましたが、別人だったんですね。ちゃんと叔父上が出てくるまで不安でしょうがなかったです。振り返ってみれば敵の方には顔に傷がありました。

ちゃんと大将首2つを取ってきた光秀に、東庵先生は「よくがんばりました」と優しく声をかけました。前回から比べるとだいぶキャラが丸くなりましたね。

「これが誉れなのか」と疑問を持ちつつも、「でも戦だから勝たねばならない」と割り切ってる光秀っていいですね。前回も比叡山のお坊さんが横暴を働いているシーンが映っていましたが、「やめろ!」と入っていくのではなく、思うところがあっても飲み込んでいましたし、大人な感じがします。

幼少期をすっ飛ばして青年期から入ったのはとてもいい感じですね。

伊右衛門の風評被害

サントリー的には大丈夫なんですかね? キリンじゃないからいいのかな?

戦が終わった後、のこのことやってきた土岐頼純。彼は斎藤道三の娘の夫でありながら、敵方の織田と通じていました。裏切りの動きを見せた土岐頼純に対して、下手に出ているようでいて有無を言わさないスタンスが良かったです。

頼純は守護、道三は守護代と、道三の方が立場が下のはずなのに、帰ろうとしたら「ここは俺たちの城だ。兵たちが生かして帰してくれるかな?」なんて脅すし、「まぁ茶でも飲めよ」と毒を盛るしで逃げ場がない頼純さんかわいそう。帰蝶の言っていた通り、鎧を着て家臣たちを連れてきていたら命は助かったかもしれません。

お茶を立てるシーンが丁寧に描画されているのも良かったです。本木雅弘さんがやっている伊右衛門のCMが思い出されます。あちらでも抹茶を丁寧に淹れてるんですよね。今回お茶を立てるのも抹茶でした。あっ……。

歌を歌いながら事切れるのを見送っているシーンもマムシ感あって良いですね。頼純役の矢野さんのやられ演技もマッチしてマムシの強さ倍増でした。

次回は落ち着いた回になりそう

予告を見るに、ほのぼのシーンと政争シーンがメインでしょうかね。毒を盛っておきながら「え? なんか急に倒れたんすよ。病気じゃないですかね」みたいなすっとぼけ道三が楽しみです。