音読したものを録音して通学中に聞く、という自給自足な勉強法
音読する勉強法のメリットについては、『暗記するときに声を出すのは王道だけど、もうちょっと深めてみる』のページでご紹介しました。
https://todoworks.com/archives/1580/
これを書いていて思い出したのが、音読した内容を録音して、それを通学中に聞いていた友人のことです。
当時は自分の声を録音して聞くなんて、勇気のある人だなーと思っていましたが、彼の勉強法を思い出すと結構理にかなっていることに気付きました。
今回はそんな彼の勉強法を紹介したいと思います。
録音したものを通学中に聞く
バス通学をしていた友人がやっていた方法です。彼は隣の市から山道を越えて通学しており、バスの往復で2時間半かけて高校に通っていました。
東京にいると隣の市と言ってもそんなに遠く感じませんが、私の地元で隣の市と言うと、山を超えた先、というくらいの遠さです。
彼は、家で教科書の内容を音読して、それをMDに録音したものを通学時に聞きながら教科書を読んでいたそうです。
当時はMD(Mini Disc)プレイヤーと呼ばれるポータブルな音楽再生機器がありました。今使っているのは、音源を録音したいアマチュアバンドくらいなものです。「今は昔」の遺物ですね。
彼はそれを使っていましたが、今ならスマホを使うのがいいでしょう。
録音するメリット
メリットは以下の通りです。
- 噛まないように考えて音読する
- 目と耳で同じ情報を頭の中に入れられる
- 一度録音してしまえば、何度でも聞くことができる
それぞれについて見てみます。
噛まないように考えて音読する
噛まないように、喋る内容をリハーサルするようになります。そうすると、喋ろうとしている教科書の内容についてよく考えることになります。
これにより、何度も教科書の内容を考えることになり、記憶が強化されます。これは音読のときのメリットと似ていますね。
目と耳で同じ情報を頭の中に入れられる
目でも耳でも同じような情報が入ってくると、脳は「2つの感覚器から同じような情報が入ってきたってことは、めっちゃ大事ってことだよね」と思い始めます。
CDを聞いているだけでは曲をなかなか覚えられなくても、Mステで歌手が歌っているのを見ながらテロップの歌詞と一緒に曲を聴くとよく覚えられる、あの現象です。
脳が大事な情報だと認識すればその記憶は強化され、忘れにくくなります。
一度録音してしまえば、何度でも聞くことができる
何度もその情報に触れることでも、脳は「重要な情報だ!」と認識します。
また、スマホを使って電車通学中に再生できるのもいいですね。電車内で教科書が広げられなくても、イヤホンから聞いていればOK! というのもありがたいです。
自転車通学なら、通学中に聞くのは諦めましょう。あなたと周りの安全第一。
録音するデメリット
デメリットは以下の通りです。
- 自分の声を聞かなければならない
- スマホの容量が心配
こちらも順番に見てみます。
自分の声を聞かなければならない
自分の声を聞くのって、結構恥ずかしいですよね。普段喋っているときに自分で思っている声と、録音した自分の声のギャップもあるので、最初は聞くに堪えないかもしれません。
それでも、何度も聞いていると、自然と受け入れられるようになってきます。
さらに、自分の声を受け入れられるようになると、「こうすればもっと聞き取りやすいかも」なんてことになって喋り方の改善にもつながります。
是非とも最初の「うわあああぁぁぁぁ! 自分、こんな声じゃないぞおおぉぉぉ!」って感じを乗り越えてください。辛いのはそこだけです。
スマホの容量が心配
スマホに録音する以上、容量だけは気を付けないといけません。今のスマホはかなり性能も良くなっていますが、録音は結構容量を使います。
必要に応じて、パソコンなどにバックアップを取ってスマホの容量を使いすぎないように気を付けましょう。
録音するアプリ
スマホがあれば、それを使うのが楽ちんです。
iPhoneの場合
iPhoneなら、「便利ツール」のなかに「ボイスメモ」アプリが用意されています。
赤い丸[●]の録音ボタンをタップするだけで録音が可能なので、電話で話すのと同じように声を吹き込めば、録音完了です。後はその録音を通学中に聞くだけです。
もしパソコンにつないでiTunesを使えるようであれば、再生速度を変えられるオーディオブックにするのもいいでしょう。
Androidの場合
Androidだと多くの場合、買ったばかりのスマホにはボイスレコーダーアプリは入っていないことが多いです。
となると、自分でインストールする必要がありますね。とは言っても、Google Playで他のアプリと同じようにインストールするだけなんですけど。
おすすめのアプリは「ボイスレコーダー(Top app to apple)」と「ボイスレコーダー(Splend Apps)」です。
アプリ自体が同じ名前なので、作者名を括弧で書いています。どちらも無料でインストールできます。英語が混じっていますが、操作をする上では問題ないと考え、この2つを挙げました。
もちろん他にもボイスレコーダーアプリはあるので、興味があればそちらも調べてみるといいでしょう。
録音の質を上げる
スマホで録音するなら電話をするときと同じように声を吹き込めばOKですが、雑音を減らしたい場合は外部マイクを使うとより聞きやすくなります。
音読するときは両手を使える方が何かと便利なので、ハンズフリーのイヤホンマイクとかヘッドセットが特におすすめです。
iPhoneを持っている場合は、買ったときに付いてくる白いイヤホンマイクで十分かと思います。Androidなら、買ったときの付属品があればそれでいいですし、無くても1000円あればそれなりのものが買えます。
イヤホン自体の性能を重視しないのであれば、100均のイヤホンマイクも意外と便利に使えます。
録音のコツ
少しでも聞きやすくするため、ちょっとしたコツを伝授。
ゆっくり喋る
録音中、「喋ってるのが恥ずかしい!」とか、「早く終わらせたい!」なんて思ってマシンガンのように喋ってしまうと、聞くときに大変なことになります。
いっぱい喋ることよりも、ゆっくりと、聞き取りやすい声で喋る方が大切です。
間を空ける
読点で1拍、句点で2拍くらいの気持ちでいるのがいいと思います。句点、つまり文章と文章の間は、意識して間を空けるようにしましょう。
こうしておけば、噛んじゃったからちょっと戻って録音しなおす、というときにも文章の切れ目が分かりやすいです。
iPhoneのボイスメモだと、ちょっと戻って上書きするというのが可能なので、波形の切れ目が分かりやすい方がいいですよね。
Androidの場合は、無料版でそこまでの機能を持ったものが見つからなかったので、1文ずつレコーディング→噛んだらファイルを消してもう一回録音、とするのが良さそうです。
録音後は、Androidのメディアプレーヤーでプレイリストを作って、録音したファイルを選択して連続再生、とすれば録音したものを続けて聞くことができます。
上記のアプリなら、録音データに好きな名前を付けられるので、分かりやすい名前を付けておきましょう。
静かな環境で
雑音が入らない環境が望ましいです。家が線路の近くだと、その音が入ってしまうことがあるので、電車の通らない時間に録音するのがいいでしょう。
1文ずつ録音するようにすれば、電車の切れ目が狙いやすいです。
お腹から声を出す
「周りに聞こえちゃうから恥ずかしい!」
なんて思ってボソボソ喋ったものを録音すると、聞いているときに余計恥ずかしくなります。
「1回録音しちゃえば終わりだ!」
と自分に言い聞かせて、家族が外出している隙に、お腹から出したいい声でレコーディングしちゃいましょう。時にはこの思い切りの良さも大事になってきます。
やっていると、いいテイクを残したくなる
このレコーディングに慣れてくると、段々といいテイクを残したくなります。
テイク(TAKE)は、録音ボタンを押してから止めるまでの1回分です。いいテイクは「OKテイク」、使われなかったものは「アウトテイク」なんて言われたりします。
実はこの勉強法、アーティストなどが行うレコーディングの体験をしているようなものなのです。こう考えると、いいテイクを残したくなるのは自然のことですよね。
そうなると何回もレコーディングしたりする訳ですが、「何回もレコーディング」しているうちに、教科書の内容は当たり前のように覚えてしまうのです。
いいものを残そうとすることで、自然と覚えてしまうなんて素晴らしい。そんなメリットもあるのです。
実は発声練習にもなる
あなたがお気づきの通り、いい声で録音しようとすると、喋り方、発声の仕方も向上させないといけません。あなた自身が聞いていて心地よい喋り方になったなら、他の人にとってはもっと聞き心地の良い声になっています。
相手が聞き取りやすい喋り方をするのは、コミュニケーション能力のひとつです。
勉強に直接関係するかと言えばそんなことないけど、これから大学に入ったり就職したりして多くの人と会うことを考えれば、聞き取りやすい声というのは大きなアドバンテージです。
まとめ
友人がやっていた、音読を録音する勉強法を紹介しました。音読した内容を録音するなんて、自分の声を聴くのが怖くないのか!! なんて最初は思っていました。
でも実際にやってみると、自分の声を聴く恥ずかしさを乗り越えたら、録音しようとした教科書の内容は当たり前のように覚えてしまったのです。
今はスマホを録音機器として気軽に使えるので、是非とも今手に持っているスマホを活用してみてください。
自分の声を聴いた時の最初の「うわああぁあぁぁぁ!」という恥ずかしささえ乗り越えれば、教科書の内容はすぐあなたの頭の中に入っちゃいます。