
とどでございます。
私、昔は「あらすじ」を作るのが苦手でした。
小学校の頃、国語であらすじを作る授業がありました。力太郎だったか、もちもちの木だったか忘れてしまいましたが、教科書に載っている本文からあらすじを作って紙芝居にする、という課題だったと思います。
当時は、「どの文も無いと困るよー」と本気で思っていたので、教科書の本文を削れず、結果ほぼ丸写しした状態の紙芝居を作った記憶があります。先生からは、「これはあらすじではありません」と一言だけ書かれました。世知辛い。
時を経て、そんな私も今ではあらすじを作れるようになったのですが、そこで気付いたのは、既存の文章からあらすじを抜き出すのは、優先度をつけるためのトレーニングになるな、ということ。
小説の場合、無いと状況が理解できないような文もあれば、無くても困らない茶番のような文もあります。あらすじを作る際には、必要な文章とそうでない文章の選別を行いますよね。この選別は、優先度をつけることにも似ています。
どんな観点であらすじを作るか
最初にあらすじのテーマを決めるのが大事ですね。イベントだけ追うのであれば、登場人物の心情なんかは含める必要はありません。
例えば、以下のような文章があったとします。今適当に作ったものなのでクォリティは……まぁ、うん。
Aは後ろを振り返りながら駆けだした。
「あいつ、まだ追ってきやがる。畜生! BもCもやられちまった! 折角のホームパーティだったのに、急に出てきたあのゾンビ野郎のせいで台無しだ!」
Aはやり場のない怒りを吐き捨てるように叫ぶ。久々に集まった高校時代の悪友たち。ちょっと小太りだがいいやつのB、クールだが熱いハートを持ったC。彼らの在りし日の笑顔が思い浮かび、涙が滲む。
「くそっ! ホームセンターだ! あそこに行けばあいつらに対抗できる武器があるはず。ホームセンターだ!」
Aは自分に言い聞かせるように目的地を繰り返し、走るスピードを上げていった。
みたいなB級ゾンビ映画的な文章だったら、あらすじはこうなります。
Aは仲間たちを襲ったゾンビに対抗するための武器を手に入れようと、ホームセンターに走っていった。
うん、簡潔。イベントを追う、というテーマであれば、これぐらいでいいですよね。
- ゾンビに追われているから急いでいる
- 対抗する武器を手に入れたい
- あの場所なら手に入れられる。そう、ホームセンターならね
と、状況説明のポイントなんかもある訳です。
これらのポイントに沿っているか判断する際、実は私たちは優先度を付けているのです。
文章ごとの優先度
物語を知る上で、無いと困る文章というのがあります。もっと言えば、文章に限らず、単語レベルのものも。
そうしたものを抜き出すときに優先度を付けています。
上述のポイントに沿っているかどうか、それぞれの文章、または単語を評価していく訳です。これは無いと困るなーとか、これは無くても話が通じる、とか。
上の例だったら、「ゾンビ」は無いといけないです。あとはAが走っている状況を説明したいですし、どこに向かっているかも。あとは仲間の仇感を出すために、「仲間たちを襲った」ことも入れておきます。
こんな感じで、必要な文章を抜き出し、評価して、組み合わせます。
これって、必要なタスクを整理して、それぞれの優先度を評価して、スケジュールを組むのと似ていますよね。そう、既存の文章からあらすじを作る行為は、仕事の優先度をつけるトレーニングにもなるんです。
無いと困るもの=本質
無いと困るものって、言ってしまえば「本質」なんですよね。それがなければ、それそのものとして成り立たないもの。
上のゾンビ映画的文章で言えば、その文章がなかったらゾンビ映画的な文章として成り立たないものです。例えば、あらすじに「ゾンビ」の単語が無かったら、ゾンビ映画だって分からないですよね。
こうした本質を見極めるためのトレーニングにもなっています。削って、削って、それでも削れないで残ったものを見出すのです。
つまり、優先度をつけることは、本質を見極めることにも通じているのです。
仕事だったら期限と重要度がテーマ
仕事でタスク整理をするのであれば、期限と重要度がテーマです。
期限で見れば、期限が近いものが優先度高、という扱いになるでしょう。重要度で見れば、そのタスクの重要性(得られる金額が大きい、やらないと後の作業に影響が出る、など)によって優先度が高いと判断されます。
あらすじを作るときと、やっていることは似ていますね。
とすると、学生のうちにあらすじを抜き出すトレーニングをしておけば、仕事でも同じような考え方で優先順位を考えられるのです。これは大きなアドバンテージ。同期に差を付けられます。
自分で文章を書くときのあらすじも一緒
既存の文章だけでなく、自分で文章を書くときに作るあらすじでも一緒です。
この場合、「既存の文章」に該当するのは、自分の頭の中にある「言おうとしていること」なんです。
そこから、本質的な部分を抜き出したのがあらすじ、もっと言えばプロットになる訳です。文章を書いていくときは、このプロットを骨組みとして、肉付けを行っているんですね。
ただ、自分でプロット作って文章まで書いて、だと結構大変なので、トレーニングに向いているのは既存の文章を使ってあらすじを抜き出すこと。比較的短い時間で、本質を削り出す作業、優先度をつける作業を行えます。
まとめ
優先度をつけるのが苦手な方は、既存の文章からあらすじを抜き出すトレーニングをしてみることをおすすめします。これは仕事でのタスクの優先順位付けにも使える考え方なので、是非ともやってみて欲しいところ。